バクの日記

人生旅行の途上で出会ったもの

新型肺炎 感染爆発と中国の真実

時節柄、新型肺炎や関連する書籍ばかりを立て続けに手にとってしまう。

 

黄文雄氏の「新型肺炎 感染爆発と中国の真実」(徳間書店)を読んだ。 サブタイトルは「中国五千年の疫病史が物語るパンデミック」。なかなかセンセーショナルである。

 

目次 

第1章 新型肺炎はなぜ中国で発生し、世界に拡散したのか

第2章 世界史を変えてきた中国発パンデミック

第3章 疫病拡散の温床となる中国の社会風土

第4章 ずさんな中国の医療衛生の実態

第5章 新型肺炎「COVID-19」が世界に与える影響

第6章 中国発の脅威にどう対処すべきか

 

本書は「おわりに」が今年(2020年)2月中旬に執筆されており奥付は第一刷が2月29日となっている。類書の中では比較的早い時期に出版された単行本といえる。

 

まず第1章で2019年12月8日〜2020年2月13日までの新型肺炎の流行の経緯がまとめられている(p.30)。その上で、中国で疫病が発生、拡大する原因として次の9つをあげている(p.32~)。

 

1 希薄な衛生観念

2 儒教からくる家族主義・自己中心主義

3 ニセモノ文化

4 多すぎる人口

5 何でも食べる食文化

6 農村などでの人畜共棲

7 秘密主義、情報隠蔽

8 皇帝制度、一党独裁

9 不完全な医療制度

 

これら9つの点について簡単に説明した上で、第2章以下で中国の歴史、社会風土、衛生環境をふりかえりながら、武漢で発生して世界に膨大な被害をもたらしている新型肺炎が必然的な出来事であったことを説明している。

 

本文中で特に驚いたことを一つだけとりあげる。中国では、医師や医療関係者の社会的地位が非常に低く、所得も相対的に低く、医学部は成績が悪い人が進学する学部なのだそうだ。にわかには信じがたいが、武漢肺炎の初期の報道で患者や家族から医師への暴力が問題になっていると伝えられていたことを思い出した。

 

筆者は台湾に生を受け、旧統治国である日本と大戦後(というか国共内戦後)に台湾に流入した中国人(いわゆる外省人)の両方の影響を目の当たりにした後、日本の大学と大学院で学んだ評論家である。

 

過去に数え切れないぐらい疫病を発生させ、世界に蔓延させてきた史実を踏まえて、著者が2月の時点で予測していた中国共産党の隠蔽、対処の遅れ、衛生物資の独り占め、偽薬の垂れ流し、自国の正当化、自国賛美、他国への責任転嫁、WHOの無力化など、指摘していた多くの点は現時点(5月5日)でことごとく的中しているのが怖い。

 

著者の指摘が事実なら、中国本土は決して感染終息はしていないし、農村部などはそもそも医療機関もなく悲惨なことになっているのではないか。

 

また、これまでに行った中国への出資と技術協力は報われるはずもなく灰燼に帰することになるだろう。著者の指摘する通り、製造業については国内回帰を果たして雇用を生み出すよい機会なのかもしれない。

 

また、中国は無力化したWHOを通じて自国の正当化と賛美を繰り返し、感染源として米国の責任転嫁(根拠となるデータは提示していない)を示唆するなどしている。これらは本記事執筆時点(5月5日)で米国をはじめ世界各国が調査中と報道されている。真実は歴史が語ってくれることだろう。

 

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